自殺要因の調査、指針改訂を検討 遺族への意向確認徹底へ
NEWS 文科省は、子どもの自殺要因を調査するための指針の改訂に向けて検討を始めた。小中高生の自殺が増加する一方、教育委員会が外部専門家を加えた詳細な調査を実施した件数は全体の1割にとどまっていることなどから、遺族が調査を希望するかどうかの意向確認を徹底させる方針だ。
これまで指針では、子どもの自殺要因を明らかにする上で、学校自身が調べる「基本調査」と、外部の専門家を加えた組織が実施する「詳細調査」を位置付けてきた。自殺要因に学校生活が関係していることが疑われたり、遺族の要望があったりした場合に詳細調査に移行することとしている。
警察庁・厚労省の統計で昨年の子どもの自殺者数は513人と過去2番目に多かったが、詳細調査を実施したのはその1割、学校や教委が遺族に調査を希望するか意向を確認したのも6割にとどまるなど、遺族への適切な対応が取られていなかった可能性がある。そのため、指針を見直すことで、学校・教育委員会による遺族への意向確認を促す他、詳細調査を実施する際の要件などを示す考えだ。
18日に開いた協力者会議の初会合では「詳細調査に移行したケースと、しなかったケースの違いはどこにあるのか示してほしい」とする意見や「学校生活にかかわる場合のみ詳細調査が行われることで、自殺が複合的な要因であっても、学校の課題ばかりが表に出てくる可能性がある」と調査設計の問題を指摘する意見もあった。
協力者会議では来年3月までに改訂案の方向性をまとめる方針だ。