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間違った「任せる」が授業を壊す

14面記事

書評

重谷 哲生 著
自立性、主体性生む指導とは

 10月をめどにしっかり教え切ると、子どもたちが自分で考え動き始める―。初任時代の失敗を糧に日々精進することで「指導すべきことを指導すれば、いずれ自主的に動けるようになる」という仮説が確信に変わる。
 こうした指導観を持つ著者が「無計画に子どもに任せること」は単なる「放任」であり、「任せる以前の『指導する』という部分をスキップしては教師のいる意味がない」と考えるのは必然である。
 第1章で「任せるばかりの指導への警鐘」を鳴らし、本書の肝に当たる「教師が指導すべきこと」(第2章)で学校を「公の場」として意識させて「公のマナー」を身に付ける指導や、教師と子どもの縦糸を、子ども同士の横糸を紡ぐために何をすべきかなどを「当たり前を指導する」で語る。書く力や話す力、議論する力をどう育てていくかを「授業における指導の基本」で、自己調整学習や自学ノートが機能するための考え方、方法を「自己調整学習力」でそれぞれ具体的に示す。
 結びには自立した人間を育てるために必要なことや1年間を見通した戦略などを「本当の自立へと導く指導」(第3章)で述べていく。
 教師修行として学んだ向山洋一氏、菊池省三氏など先達の実践知、経験知が、著者の血肉となって実践を豊かなものにした。指導力を磨きたい、より子どもの成長を促したいと切に願う教師たちにぜひ薦めたい。
(2156円 明治図書出版)
(矢)

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