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リテラシー教育はどうあるべきか 現代アメリカにおける概念の相克から読み解く

14面記事

書評

樋口 とみ子 著
2大主張を取り上げ考察

 「リテラシー」はちまたに「氾濫」している観がある。情報リテラシー、メディア・リテラシー、ICTリテラシーなど枚挙にいとまがない。しかし、「意味内容等についてどれほど理解しているか」。本書を読んで評者は深く自問自省せざるを得なかった。
 著者は、本書の目的を、リテラシーという言葉について、その歴史と意味内容を巡って、大議論が展開されてきた「機能的リテラシー論」と「批判的リテラシー論」の2大主張を取り上げ、二つのリテラシー概念を巡る思想の系譜と教育方法の展開を検討することを通して、これからのリテラシー教育と社会発展の在り方を考察することであると述べている。
 リテラシーを巡る二つの主張は、経済発展を遂げていく世界の動きとともに人権を中心とする国際的な潮流や各国民のニーズに支えられ、大きなうねりとなって展開されてきたことが分かる。従って、リテラシーの意味内容も、「読み書き計算」のような基礎的な能力から、「社会に効果的にアクセスし、その発展・変革に主体的に関わるために必要な能力」へとグレードアップしてきており、この流れはさらに加速するものと思われる。著者は二つの主張に基づく教育実践についても広く深く考察しており、これに「文化的リテラシー論」も加え、それぞれの主張の成果と問題点を明らかにし、今後のリテラシーを巡る教育の在り方について貴重な提案を行っている。
(6600円 ミネルヴァ書房)
(新藤 久典・元国立音楽大学教授)

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