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ワーク・ライフ・バランスと生涯学習 すべての働く人々のために

14面記事

書評

小川 誠子 著
国内外の施策、企業の取り組み検証

 仕事と生活の調和を意味する「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、日本では21世紀に入って間もない頃から使われ始めた。
 書名には、ワーク・ライフ・バランスと生涯学習の橋渡しをしたいという著者の思いが込められている。
 本書では、日本におけるワーク・ライフ・バランスの考え方の源流を探った上で、国の主要施策の生成・展開過程を、対象者や鍵概念などに着目し分かりやすく整理している。「キャリア発達」や「ファミリー・フレンドリー」の概念とワーク・ライフ・バランスとの関係や違い、米国との比較も参考になる。
 さらに、大企業を中心とするワーク・ライフ・バランスの取り組みや、特に育児休業制度などに光を当てて考察、検証している。
 ワーク・ライフ・バランス施策の対象は、働く女性から全ての働く人々へと広がりを見せてきた。しかし実際には、今なお対象が子育てや介護(特に子育て)を担う人に限定される傾向がある。全ての働く人々を対象としたワーク・ライフ・バランスの実現には、育児支援制度だけでなく、生涯学習にとって重要な要素である学習活動・地域活動・ボランティア活動の充実が必要であり、生涯学習が極めて重要だと指摘する。
 生涯学習の大切さや今日的な意義を改めて学べる一冊である。
(2200円 人言洞)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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