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教育実践の物語を紡ぐ 実践研究 教師のライフコース

14面記事

書評

大脇 康弘・スクールリーダー研究会+ 編著
起伏に富む教職人生を語る

 本書は、「学び続ける教師」「実践研究する教師」を体現し、かつスクールリーダーとしての経験を持つ者(6人)の語りを通じて、起伏に富む教職人生(教育実践の山脈)を大局的に描く共同実践研究の成果をまとめたものである。それぞれの語る時間軸は長く、そうした語りを集める一連の研究プロジェクトも息の長いものであったため、大変な時間を集約した一冊となっている。
 一つ一つのライフコースの語りは非常に興味深い。単なる思い出語りや武勇伝ではなく、苦い思いや苦しかったこと、それぞれからの浮上・立ち直りや、経験を学びに変えたり、経験から学びのモチベーションを上げる様子など、メリハリのある語りが紡がれており、研究者と実践者による丁寧な共同作業をうかがわせる。それ故に「どのような実践をしたか」を読むだけでは、ややもったいない。どのように学びの必要性を感じ、学びと実践を往還させたかというマインドセットをはじめ、さまざまな局面での認識・思いや行動へのつなぎ方を読み取ることを勧めたい。
 また本書では、教職研究者やライフコース研究者による教師の成長や学びに関する論点整理も行われている。これらの研究を深めたいという読者にとっては、本書で紡がれる語りをどのように研究素材として読み、引き取るかというヒントも示されている。
(2750円 一莖書房)
(川上 泰彦・兵庫教育大学教授)

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