子どものやる気に火をつける 「見つけ学習」の考え方・進め方
14面記事前田 勝洋 編著
全教科で展開可能な実践例
「見つけ学習」とは、本書の編著者が30年以上にもわたって行ってきた独自の実践である。この実践において、教師は子どもたちに「すごいなと思うことを三つ見つけよう」「心に残ったことを三つ見つけよう」と呼び掛け、子どもたちの「見つけたい!」という意欲を喚起する。本書には、この実践に魅了され、公立小・中学校の現場で「見つけ学習」を実践してきた教師たちの実践報告が収録されており、各教科における「見つけ学習」の豊かな実践例が紹介されている。その射程は広く、例えば、歴史(「縄文時代の人々の暮らし」と「弥生時代の人々の暮らし」の違いを見つけよう)、理科(地層の断面図の写真を見て、すごいと思うことを見つけよう)、体育(「とび箱をとび越えるコツを見つけよう」)、数学(この式から見つけたことは?)など、工夫次第であらゆる教科において展開が可能なのだという。
「見つけ学習」の基本スタンスは、子どもたちが見つけたことに「まちがいはない」という姿勢である。また、「かかわり合い(聴き合い)」が大切にされている「見つけ学習」において、他者の考えに寄り添い、多様な考えを受け入れていく姿勢を子どものうちに育むことができるという点も画期的だ。本実践は、「ちょっと無理をすれば実践できる」授業法であると編著者は述べているが、本書は「見つけ学習」の手引として最良の一冊といえる。
(2200円 黎明書房)
(井藤 元・東京理科大学教授)