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一刀両断 実践者の視点から【第610回】

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「正座して礼」、騒動を避けるには

 小学校の教員が、感謝の気持ちを表すため、児童に対して正座をして頭を下げさせ、その模様を撮影したとの報道がある。大学教授が体罰に当たる可能性があると指摘している。この記事に時代の流れを痛感した。
 武道では当たり前の行為であるが、正座して頭を下げる行為が土下座だとして問題視されるのだから、こうした文化も消滅していくことになる。
 私は以前校長としてやり残した事があった為に市教育長を前に、床に正座して頭を下げ、移動の留保をお願いした事があった。させられたのではなく、自らしたのであった。
 させられるものではなく、自ら止むに止まれずする事なのであろう。それを教える必要がこの現代にあるだろうか。今回の記事にあるような場面は考えにくい。
 過去の慣習で土下座して謝罪する事はよく耳にしたし、児童が万引きをして校長室前に正座して私も座った事があった。
 悪いことをするとこうなると受け止めて臨んだが、今の時代には奇異になるだろう。なぜ奇異になるのかを説明できるようにしておかないと、悪意がなくとも違和感がこうした騒動に発展するからである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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