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「指示」をやめれば、先生はうまくいく

12面記事

書評

内藤 睦夫 著
子どものためになる関わり方は

 「○さんが座ったら授業を始めます」、全員を正しい行動へ導きたいという教師の願いが込もったこの言葉を、著者は「脅しを用いた指導では」と指摘する。
 本書は、「指示をやめましょう」をいう本ではない。指示をしたくなる自分を手放して楽になることを提案している。第1章「『指示』をやめれば、楽になる」では、指示や命令がつくり出す苦しさやそれを手放す最善の方法が、第3章「場面でわかる『指示しない』技術」では、授業開始前から生徒指導、保護者対応に至るまで20の具体的な場面を通して提案が示されている。第2章「『指示しない』ために必要なこと」では、「子どもをコントロールする」という視点で挙げられる14の事例に、指導者として行ってきたことが、本当に子どものためになっていたか問い直している。
 「子どもはコントロールできない存在である」ことを前提に、子どもとどういうコミュニケーションを取るのかを一緒に考えるための本であるという著者。人には元々より良く育ちたいという思いがあり、信じて関わってくれる存在が子どもの主体性や対話力を引き出す、という考えを子どもと関わる全ての人が持てたら―。
 38年間の教員生活を経てカウンセラーをしている著者からのメッセージは、きっと目の前の子どもとの関係づくりのヒントとなるに違いない。
(2200円 明治図書出版)
(伊藤 敏子・仙台市教育局学びの連携推進室主任)

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