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一刀両断 実践者の視点から【第609回】

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論説・コラム

教員による著作権侵害

 都内の中学校が発行した「学校だより」に使用したイラストが無断利用だったことから、教員が賠償金を負担したという。このような事態の再発を防ぐことは難しい現実を再確認した。
 そのような状況は学校現場に居れば分かるはずである。イラスト類の著作権の扱いは分かりにくい。「フリー」「無料」と検索して出てきた素材でも、自由に使えるとは限らない。
 著作権の侵害を防ぐには、教委が「この範囲で使用するように」と一括して購入し利用を進める必要がある。まだまだこうした著作物の取扱いについて学校現場では、教育活用で利害ではないので許されるという風潮がある。こうした出来事の未遂や見過ごしは極めて多い気がしてならない。
 ある時、危機管理官だった校長から、「だんご3兄弟のリズムを学校の電話着信にしたいのだけれど大丈夫かな」と相談が来た。
 もちろん利権を購入してならよいが、無断使用は違法である。利用が許されるかもしれないが、許されると考えがちになる。
 では、小学校一年生が描いた絵を活用したいと考えて本人に確認しておけば可能なのだろうか。後日、保護者からクレームが来た場合、「本人には確認しているので」で済むのだろうか。
 こうした出来事に明確に回答できる先生や教委はいるだろうか。困った事は学校現場で起きている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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