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「次期指導要領では1コマ45分、標準授業時数年間945時間に」 東京学芸大の大森教授が提言

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 現行学習指導要領の標準時数は多すぎて中学生の学びを損なっていると考えている教員が多い―。そんな結果が、東京学芸大学の大森直樹教授の研究で明らかになった。大森教授は、次期学習指導要領改訂では授業1コマの単位時間を45分に、標準授業時数を年間945時間程度に抑えるよう訴えている。
 調査は今年6~9月、公立中学校教員を対象に実施。昭和52年、平成元年、10年、20年、29年(現行)の学習指導要領下での標準授業時数への評価を尋ね、1654人から回答を得た。
 このうち、5つの期間の全てで指導経験がある271人に対し、「子どもの学習は充実していたか」を尋ねたところ、昭和52年当時の標準時数(週6日、週31コマ)では、「充実していた」「やや充実していた」の合計が8割を超えた。一方、現行の標準時数(週5日・30コマ)では3割台。充実しているとの回答はわずか6・6%だった。
 「標準時数は子どもの生活に合っていたか」との質問では、昭和52年当時の標準時数で肯定的な回答が7割を超えるが、現行の標準時数では3割程度にとどまった。
 昭和52年当時の標準時数では1日あたり5・4コマだが、現行の標準時数では1日6コマと増えている。調査では、1日あたりの時数が増加している影響も調べた。
 「不登校の増加と関係があると思うか」の質問には、「関係している」「どちらかといえば関係している」との回答の合計は5割近くに達した。教職員の病休の増加との関連を尋ねると8割を超えた。
 大森教授は21日に開いた記者会見で、標準時数過多の状況を見直すよう提言した。学習指導要領改訂に向けては、生徒の生活や学習に合った時数を見極めた上で学習内容について議論すべきだと注文した。
 見直し案として、

 ・6時間授業の日を週2日まで(週27コマ、年間945時間)とすること
 ・授業の1単位時間を45分とすること

 ―を示した。
 この他、各教科・領域の時数を「35の倍数」にして時間割を組みやすくすることや、特別活動の時数を35時間から70時間に増やして、学級活動だけでなく生徒会活動や学校行事に充てられる時間を確保することを求めた。

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