学校事務ベーシック4 教育ICTがよくわかる本 総務・財務をつかさどり、教育支援を進めるためのICT活用
13面記事栁澤 靖明・前田 雄仁 編著
欠席連絡や備品管理の工夫は
教育ICTというと、授業での活用を想定するが、本書では教育に関連するICT機器とその周辺や技術として、学校事務領域からの実践を示している。
評者が現役の頃は、学校事務の主要業務は配当予算の執行・管理、物品の購入・管理、教職員の給与・福利厚生等であり、授業支援の場面はほとんどなかった。
しかし学校のデジタル化推進とともに、事務職員の役割も変化している。本書ではまず教育政策や法令、教育活動とICTを整理し、その上で事務職員の専門性を生かした実践例を紹介している。
実践例は総務領域、財務領域、教育活動支援の3分野での実践を掲載している。総務領域では、学校評価の集計や、欠席連絡などでの活用が報告されている。財務領域では、ICT環境整備における保護者負担の軽減や備品点検の工夫、特にQRコードを活用した備品管理は注目だ。
教育活動支援領域では、就学援助申請や各種アンケート集計、外国人家庭の支援などの実践例が報告されている。その他、研修会の開催など、従来の事務職員のイメージを超えた実践が述べられている。
文中では「事務職員はリソースマネージャー」と述べられ、教育的素養と複合的知識が求められている。今後はこの実践を特別とせず、事務職員全体の意識改革が期待される。
(1980円 学事出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)