令和型不登校対応マップ ゼロからわかる予防と支援ガイド
16面記事千葉 孝司 著
現在地知り、出口を目指す道筋
小・中学校での不登校児童・生徒数は29万9048人(令和4年度間)と過去最高を記録する中、不登校状態にある子ども、関わる大人などに向けた「不登校回復マップ」(子どもバージョン、大人バージョン)というツール活用は、時宜を得た提案だろう。
子どもバージョンを見ると、不安が増え、学校に行けなくなり、休んでほっとするが学校が気になる、だが自信がないという負の連鎖の「第1ステージ」、自身の今の状態を受容し、安定、充電、挑戦、自信へとつなげゴールに向かう「第2ステージ」で構成した。
不登校回復マップによって、先の見えない不登校状態の現在地と出口を分かりやすく見通せることができる点に価値がある。
マップそのものの説明から第1ステージの対応、第2ステージでの支援を解説した各章は不登校に悩む関係者にとって参考になる。
タイトルにも使われている令和型不登校については「欠席することのハードルが低いことが特徴」と指摘し、コロナ禍によって体調が悪ければ欠席することが奨励されたこととも関連付けている。また、さまざまな変化にさらされた令和の子どもの「かかわりの回避」や「意欲の低下」の要因を「甘え貯金」「遊び貯金」「安心貯金」の残高不足に例えた。学校、教師にとっては子どもの「貯金」を増やすことにつながる「不安と負担を減らす学級づくり」の章を、ぜひ読んでほしい。
(2046円 明治図書出版)
(矢)