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あの子はなぜ荒れるのか 発達障害・アタッチメントとトラウマインフォームドケア

16面記事

書評

楠 凡之・丹野 清彦 著
行動の理由探り、支援策示す

 注意すると暴言を吐いて物を投げる年長児、学校に来ても抜け出しを図る小学1年生、顔の間近で話し、友達と摩擦を起こす小学5年生、付き合う相手を怒鳴ったり、なぐってもDVはしていないと言い張る中学3年生…。
 こんな子どもたちの姿13事例を「不安定なアタッチメントの関係を生きる子どもたち」「発達障害の子どもたち」(小・低/高学年以降)「思春期の自立を模索する子どもたち」の4章に収めた。
 事例ごとに子どもたちの問題行動を「理解」し「支援」するための「解説」を付す。例えば独り言をつぶやき、時に暴力を振るう小学2年生の行動からADHD(注意欠如・多動性障害)だけでなく、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向も感じられると見たて、過度の興味・関心があることが少なくないため、こだわりを捉えて一緒に活動、あるいは他の子どもとのつながりをつくるなどと助言した。
 「理論編」(5章)は「子どもの『荒れ』の原因と支援の課題」の理解をさらに深めるために発達論、虐待などの逆境的小児期体験(ACE)、見過ごされやすい「境界知能」の課題を含む発達障害・知的障害―の三つの視点から子どもへの影響、問題行動の表れ方などを詳述し、参考になる。また、子どものトラウマへの理解だけでなく、課題を抱える保護者、関わる教師自身の「心身の安全が保障されることを目指した取り組み」として「トラウマインフォームドケア」の必要性も提案した。
(2200円 高文研)
(矢)

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