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いばらの道の男の子たちへ ジェンダーレス時代の男の子育児論

16面記事

書評

太田 啓子・田中 俊之 著
性別の「らしさ」から解放訴え

 これからの未来を生きる男の子たちが自分も他人も傷つけずに人生を歩んでゆくにはどうすればよいか。2024年の日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位。主要先進国(G7)の中では依然として最下位であり、低迷が続いている。そうした状況を打破するためにも、価値観の形成途上にある男の子の育児のありようを見つめ直すことが重要である。
 本書の著者は、弁護士の太田啓子氏と男性学研究者の田中俊之氏。両氏は、子どもたちが社会から性別ごとに異なるメッセージを無自覚に受け取っている現状の問題性を暴き出し、その弊害について鋭く分析している。「子ども部屋に鍵は必要か?」「スーパー銭湯の男風呂は、なぜ、おばちゃんが掃除をする?」など、各章は身近で切実な悩みから出発し、議論が深められてゆく。一貫して、「男の子だから」「男のくせに」といった「男らしさの呪縛」からの解放の必要性が訴えられているが、対談の内容が説教くさくない点も本書の魅力だ。ジェンダーレスについて楽しく学ぶことのできるコンテンツや、イラストレーターのフクチマミ氏、お笑い芸人のバービー氏らのコラムも掲載されている。
 過剰な男らしさへの執着が、他者だけでなく自分にとっても有害であるとの気付きを与えてくれる本書は、子育てを巡る価値観のアップデートを図る上で、今、読んでおきたい一冊である。
(1540円 光文社)
(井藤 元・東京理科大学教授)

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