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教育環境の向上と老朽化対策の一体的整備を

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施設特集

~文科省の令和7年度概算要求から~

 文科省は8月末、令和7年度(2025年度)予算の概算要求を公表した。そこで、新しい時代の学びを支える安全・安心な教育環境の実現に向けた、学校施設整備関連の予算に的を絞って紹介する。

公立学校施設整備に2048億円

 今回の概算要求では、子どもたちの多様なニーズに応じた教育環境の向上と老朽化対策の一体的整備を図るため、公立学校施設整備に2048億円、国⽴⼤学・⾼専等施設整備に771億円、高等専門学校の高度化・国際化に725億円、私⽴学校施設等整備に336億円を計上した。
 公立学校施設整備では、老朽化対策と一体で多様な学習活動に対応できる多目的な空間を整備、バリアフリー化、他施設との複合化・集約化、校内ネットワーク環境の整備を推進する。加えて、カーボンニュートラルの実現に向けて、学校施設のZEB化(高断熱化、LED照明、高効率空調、太陽光発電等)や木材利用の促進(木造、内装木質化)も進めていく。
 具体的な支援策となる制度改正では、特別支援学校の在籍者急増に伴う教室不足解消に向けた改修等の補助率引上げと、屋外教育環境の整備に関する事業の補助時限を、共に令和11年度まで延長する。建築費用の単価改定では、標準仕様の抜本的見直しや物価変動の反映等による増に合わせて、対前年度比19・6%アップする。これは、鉄筋コンクリート造の小中学校校舎の場合、平米あたりの単価が今年度よりも5万円ほど上がる計算になる。
 また、近年、小・中・高の不登校が約30万人に急増し、いじめ問題が深刻化する中、学びの多様化学校(不登校特例校)を全国300カ所に設置するとともに、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム等)や夜間中学など多様な学びの場所の確保も強化する。

学校体育館の防災機能強化も

 一方、年始に起きた能登半島地震を皮切りに、夏には日向灘を震源とする地震によって「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるなど、大規模地震や頻発化する風水害への対策が急務となる中で、学校施設の防災機能の強化については、今回も必要額を示さない予算要望となる「事項要求」を行うとしている。
 地域の避難所に指定されている学校体育館等では⾮構造部材を含めた耐震対策が不十分な施設もあるほか、いまだ空調設置が遅れており、エネルギー効率を高める断熱改修と併せて実施することが推奨されている。また、電気・ガスなどのライフラインが停止した場合に備えた自家発電機や蓄電池、LPガスの備蓄、マンホールトイレなどの非常用トイレの整備、公衆Wi―Fiなど通信手段の確保も早急に進めていく必要がある。

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