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大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える14歳からの創作ノート

16面記事

書評

新井 一樹 著
桃太郎を例に物語作り解説

 娘がまだ小さかった頃、夜寝かしつけるときに、桃太郎の話をよくした。失敗ばかりの桃太郎、一見、風変わりな桃太郎。そんな話に、娘は喜んだものだ。その理由はなぜか。その疑問に答えてくれたのが、シナリオ・センターの講座で実際に使用されている物語創作法に基づいて書かれた本書である。
 本書には、物語創作の具体例として、桃太郎が登場して話が進められる。読み手の心に響く物語を書くポイントが、順を追って示されていく。著者によれば、物語とは、主人公の変化・成長していく姿を描くものである。主人公を魅力的な人物にするには、読み手が憧れる面と読み手と共通する面を描く必要がある。そこで、「~すぎる性格」の主人公を登場させる。主人公が変化していく姿をリアルに描くには、天地人(物語の時代・年代、舞台・場所、登場人物)が欠かせない。読み手をハラハラドキドキさせるように、主人公に障害を与えることも必要だ。以上は、本書で紹介されている物語創作のポイントのごく一部である。
 本書に登場する3人の中学2年生は、マジカル・ミソ帳ツアーを体験しながら、副担任教師と一緒に成長し、「作家の頭、腕、眼」を鍛えていく。
 中学生だけでなく、大人にとっても楽しい本書を読んだ後にドラマや映画を見れば、物語の味わいが一段と深くなり、物語の創作意欲も高まるのではないだろうか。
(1870円 KADOKAWA)
(都筑 学・中央大学名誉教授)

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