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教室の荒れ・問題行動対応ガイド

16面記事

書評

古田 直之 著
主導権握る指導法など紹介

 子どもたちがわくわくする授業に、生き生き主体的に動く教室にしたいと教師なら誰もが願うこと。しかし、現実は簡単ではない。子どもたちの行動にうまく対応できず、頭を悩ませ心を痛め、苦闘した経験を持つ教育関係者は少なくないだろう。
 本書は、問題行動にどう対応したらよいのか事例を挙げながら指南する。例えば、第4章「主導権を握って指導する」では、四つのキーワード(目線・距離・動作・言葉)で主導権を握る指導の在り方を具体的に解説されていて実に分かりやすい。もちろん、誠意をもって子どもに向き合うことが肝要だが、このような指導法を既知かどうかで問題行動への対応はおのずと変わるだろう。
 ひと昔前に比べ学級崩壊の質が変化している。愛着障害の子どもが増え、気に掛かる様子も千差万別。著者は、子どもに寄り添うことと機嫌を取ることは全く違うと言い切る。子どもの思いは受け止める、だが全てを受け入れないこと。生徒指導には線引きが必要不可欠という。本書は実用書だ。多くのヒントが得られる。教室の荒れレベルを4段階にして示し、その対応策を述べた第2章「荒れのレベルを見極める」も興味深い。
 「優しさ」は子どもを伸ばす、「優しすぎ」は子どもを壊す。優しさの意味を勘違いせず、子どもを本当に大事に育むよう、心に留めておきたい言葉である。
(2420円 明治図書出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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