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生徒とはじめる高校探究

16面記事

書評

浅見 和寿 著
初担当の先生向け指南書

 高校新学習指導要領で登場した「総合的な探究の時間」。本書は、進学校、工業高校、教育委員会、定時制での勤務経験があり、探究主任として経験を積んだ著者が「初めて探究の担当になった先生向け」に書いた指南書だ。
 冒頭で「探究とは何か」について書かれた2通りの説明が示される。その理由はネタバレになるので控えるが、導入から楽しめる。
 探究する課題を見つけることは、大人でも難しい。「生徒に教えるのは不安」という人もいようが、著者は「そもそも探究は、『先生が教える』というものではない」から大丈夫、と背中を押す。STEP1は教師自身が探究と向き合うこと。生徒はその姿勢を見ている。
 STEP2では、生徒への説明、年間スケジュールの共有から課題の設定、情報収集、整理・分析、まとめ・表現、評価に至る基本的な進め方とポイントを分かりやすく解説する。例えば「年間のスケジュールは、ある程度整えてあげる必要がある」「時間はかかっても、自分が納得する課題を生徒が自分の意志で決める」「教員に知識や経験があるかという尺度で課題を限定しない」「どこからその情報が来ているのかを確かめさせる」といった実践的なアドバイスはとても貴重だ。
 STEP3は実践事例の紹介である。
 「主体的・対話的で深い学び」の中核ともいえる探究を、楽しく実のあるものにしたい。
(1980円 学事出版)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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