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リーディングDXスクールで進む意識改革

10面記事

企画特集

室田恵里教諭、長田茂樹校長

クラウド環境での「白紙共有」「他者参照」で授業に手応え
川越市立大東中学校

 川越市では、令和5年度から文科省「リーディングDXスクール事業」に採択された小中学校において、GIGA端末の汎用的なソフトウェアとクラウド環境を活用した個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に取り組んでいる。では、実際にどんな教育実践が行われているのか―。今年度から指定校に加わった川越市立大東中学校に聞いた。

ICTを文房具のように使えるように

 ICTを活用した授業改善として、個別最適な学びの充実と主体的・協働的な学びを深めることを目指している同校。長田茂樹校長は「リーディングDXスクールという機会を通じて研修を重ねることで、教員、生徒ともにICTを文房具のように使いこなせるようになって欲しい」と語る。
 こうした中で小林幸典教諭(技術科)は、ICT活用の一つとして「白紙共有」と「他者参照」をキーワードに授業改善を進めていることを挙げた。これは、クラウド環境において白紙の段階で共有し、子ども同士でお互いのレポートを参照しながら学習を進めるもの。1人では難しい課題も、他者参照を繰り返すことで自分なりに深めていくことができるのが長所だ。「今ではトライする先生が何人も出てきており、少しずつ『これは使えるな』という土壌が教員間で形成されつつある」と手応えを口にした。

最適な方法を選択し、自分で考える学びへ

 新たな学びのスタイルを取り入れた授業をいち早く取り入れているのが、理科を担当する室田恵里教諭だ。実験後にまとめを行う流れは変えていないが、今は実験前に今日やるべきことをスライドで生徒に共有。実験が終わった班から、この問いに対して個々で端末を使ったまとめ作業に入る。その際、他者のスライドを参照する、ネットで調べる、教員に聞くなど、生徒が自分でやりやすいと思う最適な方法を選んで学びを進めていくのが特徴だ。
 以前はプリントを配ってみんなで考える手法を取り入れていたが、それだと全員が参加していない、個々の考えが分からない、困ったときに助けが受けられないといった課題があったという。しかし、「今は全員が集中して授業を受けるようになったとともに、自分で考える時間が増えたことで疑問や発問がたくさん生まれるようになった。だからこそ、授業だけでは物足りなくなる生徒が出てきている」と効果を挙げた。

理科の実験後に生徒がまとめたスライド

チャットで小学校との情報交換も

 小林教諭自身は、例えばロボットをプログラミングで動かした際、困ったことや気づいたことをスプレッドシートで共有し、それをもとに問いかけを行う活動に発展させている。その中では、生成AIを使って生徒たちの意見を瞬時に要約して進めていくことにもチャレンジ。「私がクラス全員分を見てから要約したものと比べても遜色がない」とICTの利便性を指摘する。
 そのほか、同じく今年度から指定を受けた大東東小学校とのチャットによる教員同士の情報連携も始めており、自分が行った実践の投稿や教育委員会指導課への相談などに使用している。「近い将来、日報などにも使えるようになれば、もっと業務の効率化が図れる」と校務での使用にも意欲を見せた。

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