一刀両断 実践者の視点から【第583回】
NEWS是々非々の秩序
京都府警の本部長が部下に対し、「殺すぞ」などと発言したことが問題化している。報道に接する限り、当事者でないと理解できない要素が多く含まれているように思えてならない。
このところパワハラと言う言葉が至る所に蔓延しているように感じられる。本来パワハラと仕事や勤務態度などの秩序のあり方は紙一重であり、責任感からか強い語気になる事もある。
ただし「殺すぞ」は恫喝であり、感情とかのレベルでは済まされない。それを指導する組織であり立場にあった者が犯してしまったから、そうした風土があると捉えるべきだろう。
反面、是々非々の秩序は組織を機能させる上では役割があり怠慢は他の部署への影響を及ぼす。
最近の教員平均年齢の低下はこうした秩序を脅かしている。数年前に近隣の小学校へお邪魔した。すぐに若手教員の言動に違和感を持った。
「課題がありますね。若者の動きが淀んでいる」と指摘した。その翌年から様々なトラブルが顕在化し始めた。
校長には華やかな経歴があったらしいが、こうした場合に是々非々の対応が出来るかは別である。
力の使い方を人間力や人格や人徳をベースに養っていないと機能はしないものである。「馬の耳に念仏」の喩えは、確かに言い得ている。指導も助言も伝わらなければ意味がない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)