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一刀両断 実践者の視点から【第582回】

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既成概念が柔軟性を奪う

 先日、上司から懐かしい言葉を聞かされた。以前行政にいた頃、また学校にいた頃同じような忠告を何度も受けた事があった。
 千葉県の校長の任期は概ね2年間だった。着任したら既に前任校長の決めた事が職員会議に出される為に、ほとんど鵜呑みにするしかない。2年目はと意気込んでも次の校長の為にあまり変更をしない方がよいとされる。
 初任校は3年間勤めたのでいろいろな改革をして学力向上や地域連携の成果が高く評価されて大臣表彰にもなった。
 2校目は2学期から様々な改革を始めた。そして3校目は定年まで残り2年なのでかなり急ぎ目に改革を行なった。
 その際に必ず言われる事は、「先生のいる時はやれても次の人が困るから」というブレーキである。さも正論のように話す人が多く存在する。
 今しかできないからこそ、「やってみろ」と言われた唯一の校長には、今も忘れない恩義を感じている。
 私の母校の玄関には「今やらねばいつできる。わしやらねば誰がやる」という書が掲げられていた。平櫛田中の名言である。
 蔓延している既成概念が柔軟性を奪い発想や行動を止めてしまうのである。不登校への対策も根本から見直して親にエールを送った事で殆どが解決した。
 そこに注目されて講演依頼が増え続け出版もさせて頂いた。決してすごい事はしてはいない。だからできたのかもしれない。唯一意識したのは既成概念に縛られないようにし、行動を厭わないようにしてきただけである。
 「正論ポッドキャスト」で計8回放送される事になった。お役に立てれば幸甚である。
 第一回配信 https://omny.fm/shows/ch-seiron/sp-01-241003-mix
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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