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一刀両断 実践者の視点から【第578回】

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論説・コラム

政治とカネと教育

 この度の政界のリーダー決めにより、株価が大幅に急落した。政治のリーダーが変わることで経済界が大きく動くという現象が分かる。
 このように敏感な政治と経済の関係を説明できる教師はいるだろうか。それも小学校の教師ではどうだろうか。さほどいないのではないだろうか。
 米国ではお金の勉強を小学校段階から始め、貯金よりも投資に占める割合が大きい。金銭教育の遅れがなぜ起きているのだろうか。教科書を教科書で教える実学が出来る教員養成段階でも見直しを提案したい。
 そして今回の人事について興味深いのは、全てを排除する隣国とは異なり、残すという文化が我が国には存在している。
 国民の為の戦いなのかは疑問な点もあるが、権力の奪い合いの中にも相手の人材を取り入れる人事がされている。
 敗軍の将となった武田信玄の血を引く息子が私の近くの寺に預けられていた事からも日本は血筋までは絶やさないという価値観がある。
 そうした価値観は世界的にみたときにあまり存在はしない。どちらかというと禍根を残さないようにすべて排除し言語さえも変えてしまう国もある。
 その意味でも組閣におけるバランスを考えて取り込む和して動ぜずの文化は日本特異の傾向があるように思えてならない。
 国民に信を問う選挙が始まる。問われる国民それぞれの意識や自覚は整っているだろうか。主権者教育も仮定ではなく実学として扱う時に来てはいないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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