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一刀両断 実践者の視点から【第573回】

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論説・コラム

「自己制御」を教える

 神奈川県内の小学校で2年生の女子児童が複数の6年生男子児童に下半身を触られる被害があったとの報道がある。この時期、異性の身体に興味を持ち、幼い子供に働きかけるという事は想定できる事ではないだろうか。自分の体にも変化が起きていて異性にも変化が起きているからである。
 問題は体の変化を真正面から学べる機会がないことではないだろうか。体育の授業の中で扱う場合もあるが、それは身体の機能に関する内容であり、逆に興味を過度に刺激することもある。
 よって道徳として扱う必要があると私は主張したい。命を繋ぐ為には人間は変化する。責任を持てる年齢になって家族を作り子供をもうけるというプロセスをたどる。このことを伝えて考えさせるのである。
 道義的責任が重く存在するからこそ、興味本位での行為は不幸を招き、取り返しのつかないことになる事を教え、考えさせて議論し、相手を敬う恋愛観や結婚観へと私は導いていた。
 生物的に教えるのはもちろんだが、欲望のみに走って起こす悲惨な事案も多く提示して自己制御する必要性を私は伝えてきた。
 神奈川の事態は、こうした学びがきちんとされていない証明と言える。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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