一刀両断 実践者の視点から【第572回】
NEWS「1人職」の不正行為
学校栄養職員が給食の食材費から800万円を横領したという。1人職であるがゆえに、不正が起こり得る。管理職が管理しきれない職場環境にある。今回は学校栄養職員と事務職員だから分かりやすい。
事務職員も市費と県費の職員では仕事の区分けがある為に相互をチェックしないし、市教委には事務の管理をする職員が置かれていない。
管理訪問などして帳簿の確認をしてもそこまで見破れるかは困難かもしれない。今回このような犯罪をどのように発見したのかが私は気になる。
養護教諭でもお金の関係はあり、怪我の補償として日本スポーツ振興センター災害共済給付制度がある。その手続きでの不正が発覚したことがある。
珍しい例だろうが、不備の為の再提出が面倒とそれをやらずに市の課長名でその金額を保護者講座に振り込んでいた事案があった。よほどお金に余裕があったのか、自腹で振り込んでいたのである。
確認すると面倒くさかったからと罪の意識の低さには驚いた。ご主人は市教委の財務課長を務めていた。
過去の3名の校長の管理責任が問われる案件だったが、本人以外は金銭的な被害はないし、退職をしていた為に処分には至らなかった。
こうした事からもチェック機能を持たない1人職については起きやすい不正なのである。何処かでチェックする機能を持たせないと大変起きやすい事案であることには間違いない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)