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一刀両断 実践者の視点から【第569回】

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医師の責任

 《千葉・柏市で34歳女に刺された76歳女性が死亡 容疑を殺人に切り替え捜査へ》(テレビ朝日)という見出しの記事で報道された事件で、容疑者は精神的なトラブルを抱えていたとの情報も流れている。
 人権擁護の視点から加害者が守られ被害者が泣き寝入りするのが日本の現実とのコメントも納得できる。
 教員にも精神疾患は多く存在する。それを隠して勤務している者もいる。
 ある教員は、あまりに言動がおかしいので通院の有無を確認したところ、自身も子供も鬱や双極II型という。報告せずに14年が過ぎていた。
 早速、休職を取らせて一年が過ぎた頃、医師の診断が復職可能との診断書を持参してきた。どう見ても復職可能とは思えなかった。そこで、本人同伴で医師に面会に出向いた。
 学校の勤務を知らない医師は、良かれと思って判断したのだろう。復職により起きるであろう事態を説明したところ、復職は困難と判断を変えた。
 一番の治療は現場復帰という安易な判断をしているように私には思えた。
 今回のような事件が起きた時に通院履歴から医師の責任を問われることになったらどうだろうか。いじめでも通報義務が課されるが、医師には定年もなく、免許更新もなく、明らかに薬漬けにしていると思われる節も指摘されている。
 こうした悲惨な事件を止めるとしたらそのキーパーソンは医師ではないだろうか。管理責任を職に関係なく求めないのは合点がいかない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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