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一刀両断 実践者の視点から【第566回】

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「家族をつくる決意」を事前学習で

 《生後2か月の赤ちゃんが意識不明の重体 口の中に「おしり拭き」入れて殺そうとした疑いで父親逮捕》(TBS NEWS DIG)という見出しの記事からは、似た事件がまた起きたとの印象を抱いた。
 「親になる」とは、育児とは、などの基本的な事を学ばせていない現実がこうした結果になってはいないだろうか。
 もちろん結婚をしないという選択肢もあるだろうが、親とか育児とかは初体験の事になるし、複雑であり、束縛される時間は急増し、思い通りにはならない。この環境にどう対応すればよいのかの知識や準備そして試練がのしかかってくる。
 愛情が憎しみとなり怒りとなり、当初ではあり得ない行動へと繋がってしまうのである。
 赤ちゃんへの対応は、夜泣きや排便の処理も含めて思うようにならない。その捉え方や忍耐は待ったなしとして迫って来る。
 だからこそ、その演習を義務付ける必要があるのではないだろうか。
 男性は妊産婦の経験ができないために、自分事に捉えにくい。こうした試練がある事を承知して家族をつくるという決意や腹構えを持たせる事前学習が必要なのである。
 こうした事件を見るたびに道徳の授業に組込む必要があると思えてならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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