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学校へ防災用品を贈る~避難者が生活する体育館に必要な備えとして~

10面記事

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学校施設の防災・減災対策になる寄贈品

災害への意識の高まりを受けて

 大規模地震や風水害といった自然災害の頻発化に伴い、学校施設の防災・減災対策の強化が喫緊な課題となる中で、学校への卒業記念品として防災用品を選ぶPTAも多くなっている。なぜなら、公立学校施設の9割が避難所に指定されているにもかかわらず、避難者を受け入れ、一定期間生活するための体育館等の防災設備はいまだ脆弱であることが、これまでの大規模災害時でも明らかになっているからだ。
 特に、今年は年始の能登半島地震に始まり、8月上旬には日向灘を震源とする宮崎県南部で最大震度6弱の地震が発生したこともあり、危機感や必要性への動機の高まりから、より一層需要が増えることが予想されている。

暑さ寒さ対策に活用できる機器を寄贈する

 災害は季節を問わず発生するとともに、近年では避難所生活が長期化する傾向にあるため、被災者の生活拠点には暑さ寒さ対策となる冷暖房の備えが不可欠だが、エアコンなどの空調が整備されている体育館は限られている。板張りの体育館は冬には凍てつく寒さになり、夏には風通しが悪く、熱がこもりやすいため酷暑となるのが常であり、低体温症や熱中症につながる恐れが高まる。それゆえ、能登半島地震ではエアコンの設置してある普通教室が避難所として使われ、学校再開時には体育館への移動が生じるところもあった。
 そのため、暖房器具としては灯油ストーブなどに加えて、ジェットヒーターや赤外線ヒーターが選択されるようになっている。冷房器具としては気化式冷風機やスポットエアコンとともに、冷房効率を高め、感染症予防に必要な換気を促す設備として大型の工場扇を寄贈するケースが多くなっている。
 また、避難者のプライバシーを確保するテントやパーテーション、エコノミー症候群を防ぐ段ボールベットを始め、健康を維持するための災害用毛布、非常用トイレ、ウォータータンク、救助・救急に対応するための担架や車椅子などのレスキュー用品も手堅い寄贈品となる。

卒業生にはランタンや非常用持出袋も

 災害時には電気やガスが止まる可能性も考えておく必要がある。したがって、灯油やカセットボンベで稼働できる発電機の必要性は高い。加えて、安否確認や情報収集の要となるPC、スマートフォンの電源確保として、ソーラー充電機能も備えたポータブルな蓄電池、炊き出し用のカセットコンロなどの調理器具や保存食も人気となっている。
 さらには、卒業生へ贈る記念品としても、防災用品のニーズは高くなっている。LEDライトやランタン、手動&ソーラーラジオ、非常用持出袋、防寒着、救急セットなどだ。加えて、身体を清拭する洗顔ペーパーやドライシャンプー、熱中症対策としての携帯ファンやクールマフラー、折りたたみ日傘なども年々採用されるケースが増えている。

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