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一刀両断 実践者の視点から【第560回】

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論説・コラム

 《プール授業中におぼれ、小6女児が意識不明 北海道北広島市》(朝日新聞社)という見出しの記事によると、39人の6年生が習熟度別に3グループに分かれて水泳をしていた。教諭3人と指導員1人の計4人がいたという。
 この記事から今後水泳指導の是非が論議される事になるだろう。
 意識不明に陥った児童は最も習熟度が高いグループにいたという。児童本人も教師も泳力があるから大丈夫と考えやすいものである。その過信が取り返しのつかないミスとなる。
 水難事故の際、単に泳げるレベルでは人を助けることは出来ない。今回のケースは教諭3名と指導員1名という人数的な体制で起きた。39名が入水しているとなると水面が反射したりして個々の変化を正確に掴むことは難しくなる。
 それを承知ならば約半数を入水させて指導するのが限界のように私には思える。
 教諭が発見したのではなく、近くの児童が教諭に知らせたと言う点に私はその状況に瑕疵があったと想定する。
 人が重なるとさらに把握は難しくなる。今後、こうした水泳指導の在り方を根本的に見直す必要があるのではないだろうか。
 教員試験に水泳実技が課されなくなった為に指導力欠如があからさまになっているのではないだろうか。水難救助の資格取得でも課さないとこうした人災は無くならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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