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教育「変革」の時代の羅針盤 「教育DX×個別最適な学び」の光と影

14面記事

書評

石井 英真 著
新旧の「日本型学校」を整理

 教育関係のニュースで「令和の日本型学校教育」の語を目にしない日はない。加えて「個別最適な学び」「コンピテンシー・ベース」「子どもが主語」など令和時代の教育に関する言葉があふれている様相。改善や改革にとどまらない「変革」とは、学校の基盤となる制度、組織の枠組みやシステムを、Society5・0を軸にゼロベースで見直す意味という。これまでの当たり前が大きく揺さぶられている教育「変革」の時代を生きる今だからこそ、本書は芝蘭結契の出合いだ。キーワードであふれた頭が整理できる。
 本書は、「令和の日本型学校教育」の内容や成立過程、さらに「政策パッケージ」に示された改革構想を整理した上で、ポジティブな側面と、懸念される負の側面、つまり「光と影」を鮮明に洗い出す。従来の「日本型学校教育」の強みと弱みを明確にすることで、この教育変革を真に子どもの学びと成長そして幸福追求の保障へつながるように構築する必要性を論じている。さらに、質の高い学びの実現に向かうための提案もされている。
 タイトルにあるように、本書でまさに「羅針盤」が示された。それを受け、どこへ向かって進むのか、かじの取り方は読者に委ねられている。軸をしっかりと持ち真の主体性を発揮して歩みを進めるときなのだろう。じっくり向き合いたい教育関係者必読の書である。
(2860円 教育出版)
(藤本 鈴香・京都市総合教育センター指導室研修主事)

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