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運動部地域移行へ 有識者会議が初会合 「次期改革期間」設定など検討

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 スポーツ庁は29日、運動部活動改革策を検討するワーキンググループ(WG)の初会合を開いた。指導者や活動場所の確保策の他、「次期改革期間」の設定や学習指導要領での扱いなど幅広く議論する。会合では、複数の委員から地域移行後も引き続き学校と連携していく必要性を訴える意見があがった。
 スポーツ庁が今年5~6月に全国の自治体に実施した調査によると、地域移行に向けた協議会を設置済みが63%。本年度中には14%が設置予定だった。推進計画も、本年度中に策定予定も含めると5割を超えるなど、地域移行への動きが進みつつある。一方、指導者の確保や持続可能な収支構造、運営体制などの課題が改めて浮き彫りになった。
 事務局は会合で指導者の質・量、活動場所の確保策、実施体制の確立策など幅広い論点を提示。地域の実情に応じた取り組み推進に向けた「次期改革期間」の設定に向けた議論も求めた。
 東京都渋谷区立原宿外苑中学校の駒﨑彰一校長は、平日・休日共に運動部を地域移行している同校の現状を報告。専門家の指導を受けたいと運動部への加入者が増加し、競技力も向上。教員にもゆとりができていると効果を語った。
 一方で、部活動を学校から完全に切り離すことには否定的。教育課程に関連付けることで様々な学びが生まれるとして連携の維持を求めた。
 日本中学校体育連盟の新宮領毅専務理事は、近年教員の「部活動指導離れ」が進んできているとして、次期学習指導要領には部活動に関する適切な文言を盛り込むよう要望した。
 スポーツデータバンクの石塚大輔代表取締役は、進んでいる地域でも活動持続のための財源確保などの課題があり、地域移行が難しい地域ではまずどこから進めるかという部分で戸惑いがある点を指摘。施設の確保に向けてはスマートロックの設置などICTの活用や、学校施設への指定管理制度の活用の推進が必要だとした。
 WGは、23日に初会合が開かれた「地域スポーツ・文化芸術創造と部活動改革に関する実行会議」の下に設置。環太平洋大学の友添秀則教授が主査に就任した。

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