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「調整額増えても仕事は減らない」 現役教員らが会見

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 教員の働き方改革や処遇改善策を盛り込んだ中央教育審議会答申のとりまとめに当たって、現役教員や研究者らが27日、記者会見を開いた。中教審の教職調整額の増額の方針を批判。教員給与特別措置法(給特法)を廃止して残業代を支払うよう改めて訴えた上で、調整額の引き上げに際して基本給が引き下げられることがないように求めた。
 会見には現役高校教員の西村祐二さんら4人が出席した。西村さんは「調整額を10%にしても13%にしても残業は減らない」と指摘。残業を減らすために抜本的な給特法の改廃を改めて訴えた。
 また、主幹教諭と教諭の間に設ける「新たな職」についても言及。同様の制度をすでに導入している東京都では、制度導入時に教諭の給与が下がったとして「教諭の基本給は下げないことを約束してほしい」と基本給の水準維持を強く求めた。
 公立小学校教諭の齋賀裕輝さんは「教職調整額を増やすのはありがたいが、それよりも人を増やすことを一番に考えてほしい」と話した。その上で「13%に増やしてあげたのだからもっと仕事しろ」という風潮になることへの懸念を示し、授業準備も十分にできない業務量の改善を求めた。
 ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長は給特法の問題点について

 (1)業務の外部化に向けてコストの試算ができない
 (2)管理職が仕事削減のリスクを取らない

 ―の2点を指摘した。
 答申で示された勤務間インターバルの推進には賛同しつつも、しっかりと「11時間」確保できるように取り組みの実施を求めた。
 名古屋大学の内田良教授は、業務と賃金がリンクせず、管理職や教育委員会に業務縮減へのプレッシャーが生じないという給特法の問題点を批判した。
 中教審答申には、在校等時間を把握し、各教委で公表する取り組みの推進が盛り込まれた。内田教授は、持ち帰り仕事の増加につながらないように進めるよう注文。この他、標準授業時数や学習指導要領の内容の削減、保護者対応など、様々な対応の改善に向けた議論を進めるよう求めた。

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