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一刀両断 実践者の視点から【第557回】

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自分以上の人を育てる使命

 人事の怖さは、人命をも巻き込んでしまうことにある。「人事はひとごと」とも言われ、担当者がいちいち気にしていたら眠ることもままならない。
 様々に比較して精査して判定はするものの、その後は責任が持てないものである。
 わずかな時間で人を選抜するのは極めて困難な判断になる為に、早く忘れないと次の仕事が手につかなくなる。優位に評価した者が不祥事をした場合は、そこに関わった者として非力さと罪悪感を抱かざるを得ないから辛い。
 割り切れる人も多くいるようだが、人事を扱うのには不適な資質であろう。多くの負の連鎖をさせる事になるからである。
 さらに、側近が次々に辞職や休職となる場合は、日頃の関係が良好とは思えないし、リーダーとして折角育てた人物を手放す事の痛みを感じない感覚は、人の組織としてかなりの問題を抱えている表れに過ぎない。
 教育は自分以上の人財を育てる事を使命とする。その視点から見れば是々非々の判断が出来るはずである。
 我が身の損得を計算に入れたリーダーを選んだ場合の損失は極めて大きい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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