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仕事は1枚の表にまとめなさい。

13面記事

書評

池田 昌人 著
「二次元」から解決策考える

 著者の池田昌人氏は、コロナ禍の時期に、日本で初めて民間企業(ソフトバンク)によるPCR検査センターを立ち上げた人物である。「二次元のものをたくさん作れ。二次元の分析が重なって立体となり、より深い理解ができる」という孫正義社長(2008年当時)の言葉から、三次元、四次元の図ではなく、手元のデータを「2つの軸」で掛け合わせる二次元の表を駆使し、これまでさまざまなプロジェクトを成功させ、前述のPCR検査センターをも作り上げた。
 1章「『表で』考える」では、二次元の表の種類や用途が説明されている。二次元の表として「5W1H表(概要書)」と「効果分析表」の2種類があり、「5W1H表」はプロジェクトの概要をまとめるもの、「効果分析表」は、「5W1H表」の中で「曖昧なこと」を比較検討してはっきりさせるもの。例えば、「5W1H表」の中の「どこで(開催場)」が曖昧であれば、幾つかの候補地とその条件(利便性、付帯設備、コスト等)を2軸とする「効果分析表」を作り、3段階で評価しながら最適なものを選び出す。2章以降は、これらの二次元の表を作成する上での具体的な説明がなされている。
 昨今の教員には、学校の課題を発見、その課題を分析し解決策を図るという資質・能力がより求められていると感じる。二次元の表で物事を考え決定するという手だては、まさにその資質・能力を育むものになるであろう。
(1760円 発行 日経BP 発売 日経BPマーケティング https://bookplus.nikkei.com/
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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