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PTAでもPTAでなくてもいいんだけど、保護者と学校がこれから何をしたらいいか考えた

13面記事

書評

大塚 玲子 著
双方の関係に着目、欧州の例も

 あるのが当たり前っぽいけど、何だかよく分からないところもあるPTA。そのPTAについて取材・発信を続ける著者が、「要る・要らない」論は脇に置き、いろんな方との対話を通して、そもそもの保護者と学校の関係を考えるという本。
 方向性としては、「文句を言って(PTAを)継続するんであれば、継続する必要がない」、だから「『これをしなければならない』ではなく、『自分たちのできることは何かっていうのを考える組織』をつくろう」、そして「地域の事情によって違うから、同じようにやる必要はない」といったことに集約されようか。
 PTAやCS(コミュニティ・スクール)に関わった経験をお持ちの方も多く、単なる第三者的な論評ではない、実態を踏まえた内容になっている。元PTA会長の方が語る「ものすごいストレスを抱え」「目がうつろ」な副校長の姿はなかなか衝撃的だ。でも、今もそういう管理職が全国にいるのだろう。
 紹介されている欧州の話は参考になりそうだ。例えばオランダでは、全ての学校に教職員と保護者(高校は生徒)からなる「学校経営参加評議会」が置かれ、経営者(理事会や自治体)が決めても評議会が可決しなければ実行できない。日本も、誰かの善意に寄り掛かるようなこれまでの在り方ではなく、権限と責任を明確にするべきではなかろうか。
(1760円 教育開発研究所)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)

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