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一刀両断 実践者の視点から【第555回】

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論説・コラム

教師としての無力感

 ある県の知事が記者や議員から質問を受けて、見事なまでに相手にしていない動画がかなり流されている。これが成立しているのだから不思議でならない。相手にせず、答えもせず、質疑としては不毛である。
 トップになるまでの資質となってからの資質では大きな違いがあるが、なってしまうと後戻りさせる事は極めて困難になる展開のようにも感じられる。
 ある心理学者が、養育段階で欲しいものは与えるという環境を指摘していた。難度の高い大学へ進学するには、勉強に割く時間が多くなる為に人間関係の中で磨くべきスキルが代償になるのはやむを得ないとも指摘していた。全く同感である。
 私の教え子にも親の強い願いから勉学のみに偏った児童がいた。青年期を経ても違和感は色濃く残ってしまっている。教師として修正できなかった無力感が今も強く残っている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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