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一刀両断 実践者の視点から【第554回】

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論説・コラム

主張ある教科書から学んでは

 教科書採択についての認識を現場教員はあまり関心を持っていない。与えられた教科書で授業をこなすだけで一杯だからでもある。
 しかし、現在の日本の学びは世界基準からしておかしな点がありはしないだろうか。特に金融教育は遅れている。他にもネット系の遅れは際立っている。さらに「特別な教科道徳」も期待される成果を出しているとは思えない。
 採択とは、どのように行われるか理解しているだろうか。いつの間にか採択委員に指名され、候補の教科書がどさっと送られてくる。委員が集められて目を通して評をするように指示される。評がまとまると、管内の教育長や指導課長の前で、それぞれの教科書の特徴を説明する。特にこれが良いなどの話はしてはならない。
 教科書にさほどの差異はなく、どれでも大した差はないのが本音である。要は教師の力量すなわち腕とセンスで如何様にでも出来ると思えてならない。
 そこには利権が絡む為にかなり重々しく説明会が開かれる。説明しなくとも決められているのではないかと勘繰ってしまう雰囲気も漂う。
 副読本や教材などの関係から数年に亘って購入されるとなると、かなりのお金が動くことになるから教科書会社は必死となる。
 可もなく不可もない教科書が選ばれる傾向は理解できるが、あえて主張のある教科書を採択して批判的思考を養いながら、主体的に学ばせる必要はないだろうか。正論の暗記ばかりでは金太郎飴の教育になってしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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