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思考する教室をつくる概念型探究の実践 理解の転移を促すストラテジー

13面記事

書評

カーラ・マーシャル レイチェル・フレンチ 著 遠藤 みゆき・ベアード 真理子 訳
有効な指導の工夫 豊富に

 「『教師および生徒による能動的な問い』を学習の原動力として用いることに重点」を置く「探究型学習」と、「教科のなかで、また教科をこえて転移することのできるアイデアを構築することを中心に学習が構成」される「概念型学習」を融合したものが「概念型探究」である。学習対象は「幼稚園から12年生」。
 「概念型探究」とは何か、アプローチの仕方、単元計画などを第1章から第3章で解説し、実現するために必要な七つの「フェーズ」を第4章から第10章で一つずつ詳述した。
 具体的には「導入する」「方向を定める」「調べる」「整理する」「一般化する」「転移する」「振り返る」の各フェーズの意義や意味、指導の留意点を語る。それぞれで有効な、能力向上のための体系的な計画である「ストラテジー」を全体で約70提示するのも特徴。
 わが国で取り組まれている探究的な学習の考え方と同様に、各フェーズが順番に流れていくのではなく、フェーズ間を行き来して思考を深めていくことを大事にする。
 重要なのは「すべての生徒が概念型思考者になることができる」と教師が信じ、それを支援することである。
 支援につながる情報提供の場として会員専用サイト(登録<無料>が必要)を設け、世界各地の実践動画やテンプレートなどを収める。
 探究的な学習を深めたいと模索する教師にはアイデア、ヒントにあふれる。
(4950円 北大路書房)
(矢)

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