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令和版 学校のトリセツ 保護者と先生のための学校入門

13面記事

書評

福本 靖・今関 明子 著
Q&Aや対談で教育課題解説

 「保護者対応」という言葉はいつから使われるようになったのだろうか。教員の負担や教員を志望しない理由などの調査でも「保護者対応」が上位を占める。
 本書は「PTAのトリセツ」に次ぐ第2弾で、学校改革に取り組んだ元校長と元PTA会長の共著である。今回は学校について理解を深めるために、保護者の疑問に答えるような形を取っている。
 まずは学校のさまざまな仕組みを分かりやすく丁寧に説明している。例えば、先生の区分(教諭や講師など)、勤務時間と給特法、職員会議、学習指導要領、通知表の評価・評定、学校給食、いじめ、不登校、部活動など多岐にわたる。
 第2章では保護者の疑問に答えるQ&A方式で、昨今の教育課題を中心に紹介している。教員不足や志望者減少、校則、内申書、個別最適な学び、PTA問題、学級崩壊などである。第3章では保護者が学校を変えた六つの実践例を著者の対談という形式で掲載している。自動採点システムの導入や校内サポートルームの設置などがある。
 第4章はまとめとして、令和の教育に必要なことを、やはり著者の対談形式で述べている。本書では、保護者は学校とどう向き合ったらよいのか、保護者が学校運営に参加するとは―など、示唆に富んだ内容となっている。改革すべきは、著者の言う社会全体の「学校依存体質」かもしれない。
(1760円 かもがわ出版)
(中村 豊・公益社団法人日本教育会事務局長)

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