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信じることから始まる探究活動のすすめ 邪魔せず寄り添う「ゆるふわ」探究を始めよう!

23面記事

書評

河添 健・後藤 健夫・唐澤 博・難波 俊樹・飯泉 恵梨子 著
教えず、試行錯誤を促す実践

 教師は「しゃべりたがり」「教えたがり」と言われることがある。長年にわたって、説明や指示が主な役割だったからだろう。
 いまIT社会、AIの時代を迎え、学習観の転換が求められ、チョーク&トークの授業からの改善が進められている。しかし、子どもたちが習得できているか不安になって教えてしまったり、失敗しないよう先回りして手を打ったりしがちだ。それらは「大きなお世話」で「邪魔」なのだと著者らは指摘する。
 著者らは、偏差値依存、知識を偏重する日本の教育風土が革新する能力を抑え込んでしまい、日本の研究力は衰退の危機にあり、(生徒たちに)未来を創造する力を育てるため、総合的な探究(学習)の時間で試行錯誤を経験させることが必要だ、と実践を重ねる中学校・高校の教育者たち。
 「教えたがらない教員二人の対話」の章では、心理的安全性が高い教員組織づくりや教室運営が大切であり、「画一的な目標を設定しない」個別最適な学びや「結果でなくプロセスを評価する」探究型の授業を「ゆるふわ探究」と名付け、その思いを熱く語り合っている。
 総合学習は、育成を目指す資質・能力が示され、内容は各学校が創意工夫することとなっており、多様な実践が期待できる。「探究は百人百色」の章には「生徒を信じる探究授業」の実践と秘訣が紹介されており、授業づくりの参考にしてほしい。
(1760円 大修館書店)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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