おさらい 新共通テスト 変更のポイント(4)
14面記事渡邉教諭の授業は、生徒の発言を促すため全員を向かい合わせて座らせる=提供写真
要旨つかむ速読、言い換えを指導
英語
英語は新学習指導要領で「聞く/読む/話す/書く」の統合的な言語活動を充実することや、「話す」「書く」の発信力を強化することが目指された。来年の大学入学共通テストでも、こうした改訂を踏まえて、自分の意見を話したり、書いたりする探究的な場面設定の問題が出題されることになりそうだ。
試作問題ではリーディング2問(第A・B問)とリスニング1問(第C問)が公開された。
第A問は「授業でスマートフォンの使用を認めるべきかどうか」をテーマにした内容。さまざまな立場の5人の意見を読んで要旨を答える問題や、スマホの使用を禁止すべきという立場から意見文を書く際の構成を問う探究的な問題が出された。第B問は「環境に配慮したファッション」について書かれた文章に教師のコメントが付けられており、文章を推敲する場面だった。
また第C問のリスニングは「幸福観」についての講義をメモを取りながら聞いている場面設定で、要点を把握する力などが問われた。デンマークのライフスタイルの「Hygge」(ヒュッゲ)という聞き慣れない言葉を扱ったのも特徴だった。
新課程で大きな変更はなかった英語だが、センター試験が共通テストに変わってから総語数は増えている。受験生には速読の力が求められる。
「細かい部分を丁寧に読むよりも素早く要旨をつかむような読解指導が必要になる」
そう話すのは千葉県立千葉南高校の渡邉裕子教諭だ。大学進学に力を入れている高校では、生徒のレベルより少し難易度の高い教科書を選びがちだが、共通テストへの対応を想定すると、易しめの教科書を使った方が内容についてのやりとりが活発になり、効果的な指導ができると考える。
また、試作問題を見て、改めて授業でのディスカッションの重要性も感じたという。「本文に描かれていないことを答える問題などでは、クラスで意見を交わして、どこに手掛かりがあるのか自分以外の人の視点を学ぶことが大切になってくる」
試作問題では、同じ情報でも設問の文章と本文が異なる英語で表現している問題が見られた。表現のバリエーションを知ることが求められる。
渡邉教諭は「教員が生徒のレベルに応じてパラフレーズ(言い換え)をしたり、生徒にも教科書とは違う表現を使って発表させたりするといった指導で慣れさせたい」と言う。
変更点
・4技能を統合した総合的な英語力を評価
・話したり、書いたりする場面設定の問題を重視