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一刀両断 実践者の視点から【第543回】

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「親になる」を道徳で

 《船橋の0歳児暴行死 千葉県、検証委員会で児相の対応など検証へ》(千葉日報オンライン)という見出しの記事にはため息が出た。またかと言いたい。
 死に至らしめた母親は26歳らしいが、母になるつもりで妊娠し出産したのだろうか。そもそも児童相談所のみの機能でこうした案件は防げると考えているところに行政の無能を感じてしまう。
 母となるとはどういう事かを学んでいないし、教えていない。妊娠は早いと小学生でも可能と言われている。性交についても私たち教師は真正面から教えてはいない。
 望まれない妊娠によって産まれる乳児は幸せに成長出来るのだろうか。
 学生に「今結婚したいと思ったらするか」と尋ねた事があった。ほとんど全員が無理と答えた。
 その理由を聴くと経済力が無いと言った。「経済力があったらするのか」と聞き返すと、「家族とか親になる気持ちが出来ていない」と答えた。
 「そうした気持ちや経済力はいつ頃までに」と聴くと、「分からない」と答えた。
 こうした段階で勢いで性交し妊娠して児相へ、そして養子縁組となるケースはかなり多いに違いない。この現実をどの段階で教えるべきなのか、そしてどの教科で行うのかは不明確になっている。
 私は道徳の裁量となる時間の中で扱うべきと主張したい。何故なら知らないでは済まされない人間として必須の学びだからである。

参考授業実践から https://youtu.be/BYGqt6BSQE0?si=Thx8rV6sxS4mkxyk
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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