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本当は大切だけど、誰も教えてくれない 授業力向上42のこと

18面記事

書評

大前 暁政 著
失敗例分析しポイント示す

 授業力向上は、どの教員にとっても、生涯、持ち続けなければならない課題である。近年、新規採用教員の指導力不足が指摘されているが、学校内のOJTでそれらの教員を指導する立場の先輩教員にとっても、その知識は必要不可欠であろう。
 本書は、まさに教員が陥りやすい授業での失敗例を各項目の冒頭で示し、その失敗例の分析を行いながら授業力向上の方途を、42のポイントとして分かりやすくまとめている。
 例えば、ポイント6「教師が教える量の多少で授業の良し悪しは決まらない」では、昨今の「教師は子どもの学びを支援する」という風潮の中、「教えることを躊躇する」教師に対し、「教師の教える量」について具体的な事例を示しながら説明している。
 ポイント12「疑問や調べたいことは、簡単には見つからない」では、「『個別最適な学び』では、一人ひとりの興味・関心に合わせ、学習活動や学習課題を設定し、解決させることが大切だ」と教えられた教師が、実際の授業の中で、子どもの学習課題設定の指導の難しさに悩んでしまうという事例を取り上げ、子どもが学習課題を設定する際の「発問の重要性」について具体的に説明している。
 若手教員にとどまらず、その若手教員を指導する立場の先輩教員にも、ぜひ読んでもらいたい一冊である。
(2596円 明治図書出版)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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