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グローバル時代の教育相談 多様性の中で生きる子どもと教師

18面記事

書評

大家 まゆみ 稲垣 勉 編
性の問題、危機対応など理解に

 先を見通すことができない時代、子どもたちの抱える問題が多様化し、深刻化している。いじめ、虐待、不登校、人には言えずに苦しさを感じている子など。自校には「ない」のではなく、「見えていない」のではないかとの意識を持って学校全体で組織的な取り組みをしていかなくてはならない。
 子どもの悩みや困り感を捉え、適切な支援や対応ができるよう、教員養成課程では「教育相談」が必修とされている。本書は、教職を目指す学生用のテキストとして作成され、13章から成る。教育相談や生徒指導に関する理論、経緯、多様な手法、具体的な対応例など、多くの内容が盛り込まれている。
 教育相談は「受容、傾聴、共感」を基本とするカウンセリング・マインドを持って臨むことが大事だということは理解していても、実際に子どもや保護者を前にしたとき、掛ける言葉に迷ったり対応が行き詰まったりすることもある。子どもに関わる問題は変化しており、インターネットや性に関する問題、医療や福祉など関係機関との連携、危機対応など、最新の情報を得ておくこともリスク・マネジメントである。
 海外在住経験者やスクールカウンセラー、研究者などが執筆したコラムも必読。頭が柔らかくなり、社会の多様性について視野が広がる。「チーム学校」をけん引する学校管理職にはコラムだけでも読んでもらいたい。
(2530円 ナカニシヤ出版)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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