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一刀両断 実践者の視点から【第537回】

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「加害生徒」への学校推薦

 《加害者の今を知ってしまった…「娘の未来は絶たれたのに」中2いじめ、遺族の憤りと煩悶 学校推薦で高校進学、実業団選手に。謝罪はないまま》(47NEWS)という見出しの記事は極めて重い内容だ。未来を絶たれた娘の関係者が未来の夢に向かって生きていたという。
 こうした亀裂は学校や行政が心を砕いて関わらないとフラッシュバックしてしまう。
 仮に私ならどうしたかと考えると、謝罪を丁寧にするだろうし、感情のもつれを起こさないように緩和剤としてできる限りのことをするだろう。
 行政職員である前に人でありたいからだ。しかし、それをよしとしない動きもある。
 担任をしている時、かなり複雑な家庭の児童を受け持った。夕食もままならないので、両親や親類にも指導や助言を重ねた。
 先輩の先生方から、あまり関わらない方がいいと助言を受けた。その目に心配の色もあったが冷たく感じた。
 確かに振り回されそうにもなった。しかし、見放さなかった。
 信頼関係は少しずつ築かれていった。確かに限界はあるが気持ちだけは失いたくなかった。誰から評価されなくとも自分は知っている。
 その経験が県行政での100を超える改革へと繋がった。あの時、見放していたらそれは出来なかったと思う。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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