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一刀両断 実践者の視点から【第536回】

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論説・コラム

学歴を巡る間違い

 首長の発言が拙く、訂正や撤回に至る事例があまりに多いように感じられる。すなわち相手の状況への配慮ができないのである。
 学歴に関連して「頭がよい」かどうかを語ること自体、自らの低レベルを露見している事になるが、議会から指摘されて訂正している姿はどんな学びをして来たのか疑わしくなる。
 こうした認識を持たせて是正できない教育があるという証明ではないだろうか。学歴次第で優秀とする誤った評価が日本には蔓延している。
 確かに人を比べる時に年齢や肩書きや学歴そして経済力などで選別するのが現実ではないだろうか。ここに大きな間違いが起きている。
 先日、青森が産んだ著名な作家の直筆を見ながら虚しさを感じた。いかに財力があり知能が高くとも最後は若くして自死していった現実に、最後は幸せだったとは感じられなかったのだろうと哀れに思えた。
 成績が優秀でも様々な理由から大学などへ進学出来ない者も多くいる。また、経済的な理由と教師嫌いから勉強を苦手にさせられた者も多くいるだろう。
 その意味では、こうした市長を選んだ市民の責任は極めて重たい。その選択し投票した責任を市民は意識して果たさなければならない事を自覚すべきではないか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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