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おさらい 新共通テスト 変更のポイント(1)

10面記事

教科・指導

非連続テキストの出題を踏まえ、甲府東高は教材に法律を使った

国語
異種の文章を組み合わせ、教材に

 来年1月の大学入学共通テストから新教育課程に対応した内容に変わる。変更点をおさらいし、高校での指導を考える。

変更点
 ・「近代以降の文章」に大問を一つ追加
 ・試験時間は90分(10分延長)
 ・配点は「近代以降~」が110点、古典が90点

 国語は「近代以降の文章」の大問が一つ追加される。これによって現代文が3問、古典が2問の5問構成になる。各大問を5点ずつ減らし、新たに追加する大問に配分するため、配点の200点満点は変わらない。
 追加の大問では、どのような問題が出されるのか。令和4年に大学入試センターは試作問題を二つ公表している。
 一つは、気候変動の影響について調べ、リポートを書く言語活動の場面の問題。地球温暖化に関する文章と、平均気温・降水量などのグラフの読み取りが問われた。加えて、リポートの目次や構成を考える問題も出された。
 もう一つは、日本語に特有な役割語についてのリポートを書く場面で、引用しているグラフや文章を読み取り、リポートの論旨を考える力を問う問題だった。入試センターの示した問題作成方針によると、一つの大問の中で異なる種類や分野の文章を組み合わせた出題を検討しているという。
 高校現場では、どのように対応しているのか。山梨県立甲府東高校では1年生の「現代の国語」で、教科書の「動的平衡としての生物多様性」(福岡伸一著)を学習した後、生物多様性基本法を扱っている。法律の条文の構成を教えてから、基本法を読ませ、内容について出題する。
 そこでは基本法の前文を「動的平衡」の中の表現を使って説明させたり、環境保護のNGOの活動や自治体・企業の連携事業を示し、基本法のどの条文を踏まえた取り組みかを尋ねたりした。また行政資料である基本法の概要版を一部空欄にし、答えさせるといった問題も出した。2~3年生でも、こうした異なる種類の文章を組み合わせた教材を使っているという。同校の遠藤祐也教諭は「図表やグラフをどのくらい掲載しているかは教科書によっても異なる。扱いが少ない場合は、意図的に非連続型テキストの教材を使って慣れさせたい」と指摘する。
 一方で不確定要素が解答時間だ。大問が1問追加されて、延長された試験時間は10分。全体の設問数や文章量が減らなければ時間が足りなくなる可能性が高い。遠藤教諭は「定期考査では、授業で扱った単元と似たテーマを持った初見のテキストを出題するなどして慣れさせる必要がある」と話す。

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