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より高度な利活用に向けて、GIGA第二期の端末に適したCPU性能とは

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~学校現場での活用を意識した性能比較~

 GIGA端末の更新時期が迫っている―。今回の整備では学校現場での利活用の高度化が予想されるため、端末性能を大きく左右するCPUの選定がより一層重要になる。そこで、日本教育新聞社では村松浩幸教授・信州大学教育学部の協力のもと、WindowsOSとChromeOS、それぞれの端末を使ったベンチマークテストを実施した。ここでは、その測定結果から、次の端末に適したCPUについて報告する。

文科省が推奨するCPUをベースに比較

文科省が提示した「学習用コンピュータ最低スペック基準」(抜粋)

 「GIGAスクール構想」第2期となる端末の更新に向けて、文科省はこの4月に「学習者用コンピュータ最低スペック基準(※参照)」を提示している。その中で、今回の評価測定ではWindows端末とChromebook双方のCPUとして推奨しているインテルのインテル(R)Celeron(R)プロセッサー(N4500)と「他社CPU」を比較した。また、より高性能な端末を検討する場合の第一候補として、より高性能で省電力性を重視した「N100」※も対象に加え、比較を行った。(※メモリ容量:Celeronプロセッサー(N4500)、他社CPU:4GB、N100:8GB)

図1 ブラウザの応答速度の測定結果(Chrome OS)

 まず、測定アプリCrXPRT2を使った端末の総合性能の測定結果(図1)では、インテルCPUが優位となった。これは、Speedometer2・1を使ったブラウザの応答速度の測定でも、同様の結果である。
 また3DMarkを使った3Dグラフィックス性能の測定でもインテルCPUが優位な結果になったが、中でも「N100機」はブラウザの応答速度とともに、他機と比べて高めの数値になった。
 ブラウザ性能が高いことは、Webベースのアプリケーションの活用場面が多い学校現場においてより快適な端末使用ができると考えられる。また、3Dグラフィックス性能が高いことは、3Dデータや動画処理など、より高負荷のグラフィック処理にも対応できるといえ、子ども達の表現力の強化に欠かせないだろう。

Googleスライドの読み込みとペースト速度

 次に、1人1台端末の円滑な活用に影響するクラウドアプリの読み込み速度とペースト速度の測定(図2・3)には、Googleスライド(テキストや写真データ等27・8MB、100枚をGoogleドライブに保存)を使い、3回測定した結果の平均値を使用した。読み込みは、読み込み開始からスライド一覧が表示される時間。ペーストは、操作後、100枚のスライドが表示される時間を計測した結果、こちらもインテルCPUが優位となった。
 特徴的だったのは、スライドのペーストにおいてはN4500機とN100機であまり差が生じなかったが、スライド読み込みではN100機がとりわけ速かったことである。
 なお、N100 Windows機についても、ほぼN100 Chrome機と同じ結果に。これは、クラウドからの読み込みやペーストの処理は、ブラウザの処理能力以上にCPU性能の影響が大きいためだと考えられる。※測定結果は、ネットワーク速度や測定コンテンツの容量等の影響も受ける。

インテルCPUの優位性を確認

 このように、すべての測定ではインテルのCPUの優位性が確認できる結果となった。また、各測定アプリを使った計測結果は、インテル提供の資料とほぼ同等か、それ以上の結果であったことから、同社のベンチマークの結果を支持できるといえる。
 ただし、測定結果が高かったN100機は、他機のメモリ4GBより容量の大きい8GBが優位に働いた可能性もある。メモリが少ないとストレージへのアクセス回数が多くなり、処理以外の部分で時間がかかってしまうからだ。したがって、文科省が次期Windows端末で8GB以上を推奨していることからも分かるように、より高いパフォーマンスを発揮する「N100」×8GBが学習用端末のベストケースになると考える。

ストレスが少なく、快適な活用を支援

 一方、Googleスライドは、課題の共有や提出など子どもの表現活動で日常的に使うツールであり、こうした作業がスムーズに行われることは授業進行をはかどらせたい教員にとっては大事な要素となる。村松教授によれば、今回測定したインテルのCPU搭載機種によるスライドの読み込みやペーストの速さは、他のドキュメントやスプレッドシートなどのクラウドアプリの操作をしていても、その違いを実感できるレベルにあったという。
 その上で、特にクラウドの活用が進み、大きめのファイルや高負荷の処理を使用する場面が増えてくると、この性能差は操作感に大きな影響を与えると指摘。「今後、GIGA端末活用の高度化に伴い、現在のクラウド系のOfficeアプリから、より高機能・高負荷のアプリ活用も進むことを踏まえると、インテルのCPU搭載機の性能の高さが利いてくる。特にクラウド系アプリの処理性能やグラフィックス処理性能は、他社CPU搭載機よりもストレスが少なく活用でき、児童生徒がより快適に活用できるといえる」と評価した。

 GIGAスクール対応端末と推奨スペック(inTel.co.jp)情報はこちら
 https://www.inTel.co.jp/content/www/jp/ja/education/giga-school/device.html

 インテルが2023年末に発売した「インテル(R)︎ Core™ Ultra プロセッサー」は、電力効率とパフォーマンスの最適なバランスを実現したインテル初のAI PC向けプロセッサー。
 内蔵した3つの専用エンジンが連携し CPU、GPU、NPUがAIのパワーを引き出し生産性、創造性、そしてセキュリティーの向上を助ける。AIの活用が広がる学校現場においても今後その有用性を発揮するだろう。

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