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学び方を学ぶ授業

16面記事

書評

難波 駿 著
子どもを支える79の関わり方

 長期休校でも自ら学び、GIGAスクール構想下に自ら情報にアクセスし学びに生かせることを願い「学び方を学ぶ授業」を提唱した。授業を通じて自ら進んで学ぶのに必要な学習者の考え方、計画力、目標設定力、集中力、継続力、振り返り力、協働力を培うことを目指すものだ。「自ら学ぶ力」の育成は、古くて新しい課題の一つだろう。全7章で構成する本書が示すノウハウと考え方は、公立小教諭としての試行錯誤の取り組みから形作られたものであり、理念より具体にあふれる。
 例えば、朝の数分間に目標を立てる時間を設けることで、その後の「スキマ時間」を有効に使うことができるようになり、目標の宣言で周囲の励ましが得られ、自分の成長に気付けるようになる。1時間目には各教科の基礎となる「国語」を置き、朝の読書から朝の会、漢字トレーニングなどを加え60分を超える「習慣型国語」の時間を確保する。長い休み時間の後の3時間目には「算数」を設定し、始まりの号令をかけず休み時間も含めて「自分から勉強を始める力」の育成を企図する。
 水辺に導いても、水を飲まない児童もいる。そのうち飲むと大きく構え、強制よりも、飲むための方法を児童と一緒に考え、自分ごととして捉えるよう支えていく。こうした実践と79に及ぶ児童を前にしたときの教師の関わり方を示した。自ら学ぶ力を付けてほしいと願う教師にとっての良書となろう。
(2200円 東洋館出版社)
(矢)

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