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一刀両断 実践者の視点から【第531回】

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報告書の黒塗り、見直すべきでは

 《いじめ重大事態の報告書、黒塗り部分が外れ… 福島市が不適切公表》(福島民友新聞社)という見出しの記事は多くの示唆を与えてくれている。
 まず、こうした多くの者に閲覧される情報は何重ものチェックが基本であり、そのミスは人権侵害などの要素となる。まして信頼の要である役所のミスは他の仕事においても同様では無いかと疑われてしまいかねない。
 黒塗りを担当したことがある。何でこの箇所を消すのか理解できない事が何度もあった。
 少しでも疑わしい箇所はすべて消すのである。よって開示されてもほぼ真っ黒で意味をなさない事になる。
 開示する方と開示を求める方では、その意図がかなり異なる為に労力と紙の無駄になっているように強く感じた。
 明らかに不利益になると思われるならば黒塗りは必要だが、グレーの箇所は黒塗りするまではないと感じられた。
 そこまで黒塗りするとほぼ真っ黒で開示の意味を持たない。労力たるや想像を超えるのである。
 今回のミスはそうした過労と仕事量のオーバーに加えチェックする余裕すらない現状が垣間見える。開示のあり方も資源削減や働き方改革の視点からも抜本的に見直すべき時に来ているのではないだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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