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一刀両断 実践者の視点から【第529回】

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新任教諭の自死

 《「あこがれた仕事」新任の教諭が教室で自殺「大好きな子どもなのに」クラス担任と運動会の企画運営 時間外労働は月100時間超 パワハラも》(FBS福岡放送)という見出しの記事には歪な校内組織が見えてくる。こうなるだろう事を予測できたはずであるからだ。
 教師は子供の変化を敏感に見分ける仕事でもあるから、ましてや同僚で新採用となれば今後どう育てるか、どの様な資質を持っているかなどを具に観察しながら育てる責務が校長を始め全職員に求められる。
 最近は教師の成り手がいないからこそ、長所や課題を掴んでは育成する工夫が求められるはずである。
 この記事だけ見れば、確信犯の様な陰湿さも感じられる。
 気になるのは運動会の企画運営や時間外労働という過重である。初心者マークがついている車には皆が配慮するが担任を任されてサポートが弱いと全て背負い込むことになる。
 勤務の様子や残業の把握などを管理職はしなければ服務監督とはならない。様々な理由は並べられるかも知れないが、自分の教室で自死するという事実をその心理から察するにあまりにも不憫に思えてならない。
 こうした傾向を感じ取れない同僚や管理職では、子供たちの心の信号はほとんど受信できてはいないだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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